馬券発売機盗難事件
馬券にはまっている人間にとって、あったらありがたいものが2つある。
1つはタイムマシーン。レースが始まる前に結果が判っていれば、そりゃ勝てる。
もう1つは馬券発売機。わざわざ予想を立てて馬券を買わなくても、結果が出たあとで当たり馬券を作ることができる。これは楽だ。
どちらも着順を予想するという競馬本来の楽しみからは外れるが、儲けることができる。
しかし、タイムマシーンは現実味が薄い。馬券発売機は、競馬場か場外馬券売り場から盗んでくる以外入手する手段がない。そんなことが起きないように警備は厳重にされているから、やっぱり現実味が薄い。
と思ったら、実はこの馬券発売機、過去に1度盗難にあったことがあるらしい。
事が起こったのは昭和50年の3月16日から21日のあいだ。中山競馬場の4階に置かれていた馬券発売機が忽然と掻き消えた。当然、翌日からの払い戻し口での換金作業で、急激に厳重なチェック体制がしかれた。そのおかげで、まったく関係ないところで偽造馬券を作っていた男が逮捕されたりしている。
その男からすればいい迷惑だったことだろう。
もともと、当時の馬券は変造の防止のため開催日ごとに印字される文字や記号を変え、さらに紙やインクそのものも特殊なものを使っていた。紙幣の偽造防止と同じぐらいの厳重な体制がひかれていたのだ。だから、文字や記号の組合せがすべて一致していないかぎり、当たり馬券を作っても換金することは容易ではなかった。さらに、レースが終わるたびに紙とインク、文字と記号のプレートは外されて、別々の場所に保管される。どうやら盗難にあった機械からは抜き忘れられていたらしいのだが。
しかし、馬券には通し番号が打ってあり、盗難された券で当たり券を偽造しても、その番号ですぐにわかる。
実際にその券で換金してもらえるかどうかあやしい。
ちなみに現在は、すべてコンピューターでオンライン化されているので、券売機を盗んだだけでは当たり馬券をつくれない。
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