札幌カフェイン事件
青天の霹靂という言葉がある。
降って湧いた災難という意味だが、北海道である調教師に、この青天の霹靂が襲いかかった事件がある。
昭和53年、札幌競馬場で3週にかけて3頭の馬からカフェインが検出されるという事件が起こった。すぐに八百長レースか、と関係者一堂は騒然となったが、ふたを開けてみると、そんな生臭い話ではなかった。
競走馬理化学研究所の調査の結果、犯人はあっけなく解明された。馬の添加飼料として出回っているバイプロミンである。それもどうやら、誰かが故意にこの飼料にカフェインを混入したのではなく、何かの手違いで混ざってしまったものらしい。
そうとは知らないその調教師が馬に与えつづけ、カフェイン検出とあいなったわけだ。厩舎関係者に責任を問うのは、ちょっと酷というものだ。
しかしながら、カフェインが混ざっていたということだけは紛れもない事実。実際一時期は、厩舎関係者の故意による裏工作なのではないかとも囁かれ、競馬サークルは真っ青になった。
ことの重大さを感じた競馬会は裁定委員会を開き、その調教師に過怠金10万円を課することで事態の決着をみようとした。
これでおさまりがつかなかったのが東西の調教師会。もともと競馬会オッケーをだした飼料に偶然カフェインが混ざっていただけの話。
カフェインが混じっているかどうかなど素人にわかるはずがない。問題の調教師には罪も過失もないというわけだ。
調教師会から全面的な抗議を受けては、受けて立つ側の競馬会はどうにも頭が痛い。
どうやらうやむやのままに話が立ち消えてしまって広く一般には結末は伝わってこなかったようだが、無理もない。
そもそも、この問題の責任は調教師や競馬会にあるのではなく、添加飼料にカフェインを混入させてしまうというミスを犯したアメリカの飼料会社にあると思うのだが、そこに責任が追求されたという話は聞いていない。
いかがなものだろう。
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