ハクホオショウ幻の勝利事件
その事件が起こったのは、1972年12月2日の第9レースのクモハタ記念。圧倒的1番人気はハクホオショウで、専門紙で予想者の大半が◎印を付けていた。
タケデンバードは対抗馬のなかに名を連ねていたものの、あらかた△印どまりだった。中堅どころという評価である。
ところが、実際にレースが始まってみると、その予想に奮起したのかタケデンバードが最終コーナーを曲がった時点でトップにいた。そこにハクホオショウが末脚をのばして襲いかかる。きわどい差のまま両馬はゴール板を抜けた。
騎手はきわどいレースでも着順は正確にわかるものだそうで、タケデンバード、ハクホオショウの両騎手ともハクホオショウのトップを確信していた。
ところが、電光掲示板の着順表の1着には8の文字が浮かびタケデンバードの勝利となった。2着と3着は写真判定となった。
これから話がややこしくなってくる。
記者室には、レース終了後に全レースの判定用写真が届けられるのが恒例になっている。しかしこの日のかぎって第9レースの写真だけがない。そのため記者会見が開かれることとなったが、なぜか開始は予定時刻から55分も遅れた。
競馬会役員の発表では、やはりタケデンバードの1着は変わらなかった。
2着3着の写真判定については、係員のミスで写真が撮影されていなかったと発表した。結局、2着3着の着順については審判の討議によって決定されたという。記者たちに詰め寄られると、その1つ1つに役員はしどろもどろで対応していた。後日、このいきさつについては肉眼で写真判定とスポーツ新聞に皮肉られることとなる。
しかし、ことの顚末として1番有力説はこうだ。
3人の審判は肉眼でタケデンバードの1着は確信したが、2着3着については写真判定しようということになった。ところが写真には2着3着どころか1着2着がひっくり返る結果が、そこでやむなく、撮影を失敗したことに・・・・。
ちなみに、現在は判定写真を撮影するカメラは3台設置されているので、こういう事件が起こる可能性は限りなく少ない。
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